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そばお まさひろ
そばお まさひろ
昭和40年3月19日生まれ。
平成16年いまり法律事務所開設。趣味は,合唱,茶道,水泳,ラグビー観戦。
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2009年09月17日

伊万里市民病院

 全国で,自治体病院に医師が集まらず,病院の運営が困難になっている。伊万里市民病院も例外ではない。
 平成16年の研修医制度の改革が遠因である。研修医は,自由に研修先を選べるようになった。その結果,地方の大学病院で勤務する研修医が少なくなってしまった。そこで,各大学病院は,自治体病院に派遣していた医師を引き上げている。医師不足に陥った自治体病院は,残った医師に過酷な労働を強いることになってしまった。
 医師も人間である。いかに情熱をもった医師でも,昼も夜も土日も働けと言われれば,辞めていってしまうのも無理はない。
 だからといって,研修医制度を昔の状態に戻すこともできない。自治体病院としては,他にはない特色と魅力を打ち出して,医師を呼ぶしかない。

 伊万里市民病院は,隣の有田町にある有田共立病院と統合する予定である。伊万里市は,統合により,病院の建物を新築し,病床数を増やし,スケールメリットにより,医師不足を解消したい意向である。
 しかし,建物を建てたところで,医師は来ない。そのような安易な手法で医師を呼べるなら,どこの自治体もそれをやっているだろう。しかも,新病院建設のために,54億円かかるという。借金漬けの伊万里市が,さらにそのような巨額の借金を背負うことはできない。

 私は,自治体病院に医師を呼ぶには,自治体の首長が,自治体病院の役割を明確に示すことが必要があると思う。過疎地の医療のために情熱を持つ医師はいる。首長が明確なビジョンを示せば,情熱を持った医師は来てくれる。
 伊万里市民病院に関していえば,私は,民間のクリニックや病院ではできないことをやってもらうのが,その役割であると考える。例えば,民間の医療機関が診察していない時間帯に診察をしてもらう。また,民間では採算がとれない病気の場合に,市民病院に診察してもらう。民間の医療機関を補完するのが,市民病院の役割である。
 できれば,地方の民間病院では困難な,高度な医療も市民病院に期待したい。現在の医師不足の状況では困難である。しかし,市長が明確なビジョンを打ち出し,医師が集まるようになれば,それも可能になる。

 市民には,市民病院を「コンビニ受診」しないよう求めたい。できる限り,まずは民間のクリニックで,診察時間内に診察を受けていただきたい。やむを得ない場合に,市民病院を利用するようにしていただきたい。それが,市民病院に医師を呼び,伊万里市民病院を残すための方策である。


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Posted by そばお まさひろ at 23:12 │伊万里市民病院